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考察:神の正義を貫く男

スマホのメモ帳を何気なく見直していたら、アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(以下AoU)でキャプテン・アメリカがスカーレット・ウィッチの術に嵌まって見た夢の意味を考えあぐねて書いた文章が出て来たので、載せてみることにします。

そもそもは、AoUを一緒に観に行った友達と映画の後にお茶をしていた時、彼女が言ったことがきっかけでした。

「トニーの夢がアベンジャーズ全滅の恐怖、ナターシャの夢が過去のトラウマ、ソーの夢が第3作に続く伏線なんだろうということはわかるけど、キャプテンの夢はどういう意味?『家に帰ろう』という台詞が2度出てくるけど、そもそもキャプテンって家に帰りたいの?」

言われて、私は言葉に詰まりました。で、延々考えた。
確かにAoUを観る限りでは、キャプテン・アメリカはアベンジャーズを仕切る根っからの兵士って感じだし、現代にもある程度順応してるようだし、家に帰りたいという願望は見えない、というか見せない。

熱心なキャップファンでもないと、キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャーからキャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(以下WS)に至る物語で、キャプテンでなくスティーブ・ロジャースが誠実で真っ直ぐなゆえに結果的に個人としての幸せの追求を犠牲にしたことには思い至らないのかもしれない、と思った。70年後の時代で目覚めて、どれほど大切な人を己の手で幸せにできなかったことに苦悩し、現代で言う「正義」と己の正義のはざまで悩んでいたか。そして死んだはずの親友=バッキーが、壊滅したと思っていたヒドラに捕縛され操られ、50年以上語られる暗殺者ウィンター・ソルジャーとして彼に刃を向けた時、私はキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースの最も欲しかったものを垣間見た気がしました。

「君とは戦わない。僕は最後まで君と一緒だ」

そう言って任務遂行後、スティーブは70年共に眠り、戦いを共にした盾を捨てた。
ウィンター・ソルジャーが彼を殺すつもりで殴ってきても、彼は抵抗しなかった。そのまま水に落ち、浮かび上がる意志も見せなかった。
スティーブはキャプテン・アメリカの顔を脱ぎ捨てれば、ただの迷子なんだと思い知った瞬間でした。

前置きが長くなりましたが、散々考えた結果、私は前述の友人にだいたい下で書いたようなことを伝えました。

+++

キャップは夢の中で、自分が迎えられなかった第二次大戦の終戦の祝いの場にいる。
ダンスホールでは皆喜んで酒を飲み、カメラが銃声か爆発音に似たフラッシュ音を立て、血の色に似た酒を胸にこぼしても機嫌の良さそうな人や、戦争が終わったのに些細なことで争う人がいる。
そんな中で、少し混乱して立ち尽くしていると、若いままのペギーがダンスに誘ってくる。そして「家に帰ろう」と言う。本物じゃないってキャップにはわかってる。現実のペギーは90歳を越えている。

キャップは、家に帰りたいのか?と問われれば答えに窮すると思う。帰る家がないことを痛いほどわかってるから。だから家に帰ろう、と言われても立ち尽くすしかないし、住んでいる場所を家と呼ぶんだろう。
立ち尽くしているところで、夢ではダンスホールが空になる。空虚でしかない。虚ろな現実に向き合わないように闘っているのかもしれない。
スティーブは、夢の中だけでもペギーと踊ればよかった、と思ったかもしれない。フラッシュバックのようにダンスシーンが挟まれるけど、その後のスティーブの顔を見てると、そういう後悔が見えるような気がする。
ダンスの約束をしたまま70年も経って、再会したペギーはもう己の力で立てないほど老いていたから。

+++

スティーブの夢が恐ろしい、というかスティーブの存在が危ういと思うのは、AoU時点でスティーブがそれまで心に受けた傷を、受け止める存在がいない、という事実でした。
スティーブはキャプテン・アメリカという仮面を、実に巧く被っている。傷もとても巧妙に隠している。まるで無傷を装える強さも持ち合わせている。実際彼は根っからの兵士だから、誰かに弱いところを見られるようなことはしない(WS以降恐らく誰も信じていない)し、兵士らしく振る舞うのも恐らく苦には感じていないでしょう。それでも、彼も人間です。

AoU冒頭で、マリア・ヒルがマキシモフ・ツインズの情報をスティーブに報告している時、「自ら人体実験に身を投じるなんて」と言ったヒルに、スティーブは冗談めかしてこう返します。

「What kind of monster would let a German scientist experiment on them to protect their country?」
(祖国を守るためにドイツの科学者の実験台になるなんて、どんな怪物だろうな?)

これは明らかに、第二次世界大戦中にドイツの科学者の超人血清実験に志願をした己を痛烈に皮肉っています。
それに気付いたヒルが、
「Captain, we're not at war.」
(今は戦争状態じゃない)
と言いますが、それにもスティーブは微笑みながら答えます。
「They are. 」
(彼らは戦争をしている)

70年経って尚、戦争が絶えない世界を見るスティーブはどんな気持ちでしょう。
彼の周りは(ソーを除いて)現代の問題を『自分の時代の』問題として対処している。
けれどスティーブは違う。戦争の犠牲になって氷漬けになり、目覚めさせられ、70年経ったことを知らされ、必要とされるからそこにいる。
どうしようもない孤独や、戻れるはずのない時代への追慕を理解する人間はどこにもいない。

現実に、彼の気持ちを分かち合える存在はアベンジャーズの中におらず、彼もそれをわかっているのでしょう。
トニーに
「I don't trust a guy without a dark side.」
(影のない人間は信用できない)
と言われた時、スティーブが
「Well let's just say you haven't seen it yet.」
(そうだな、君がまだ見ていないのだとしようか)
と答えたのには、どこか苛立ちと諦観が混じっているように感じました。

この先、MCUにおいてキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースに救いがあるのか。
彼がキャプテン・アメリカでなくスティーブ・ロジャースとして生きていける未来があるのか。
そう考えた時に思い出すのが、AoU劇中でウルトロンがキャプテン・アメリカのスーツを着たスティーブと初めて対面した時の台詞です。

「Captain America. God's righteous man.」
(キャプテン・アメリカ、神の正義を貫く男)

「Pretending you could live without war.」
(戦争がなくても生きていけるような振りをしているな)

cap01

戦争時に皆に必要とされる、スティーブのキャプテン・アメリカとしての生き方を嘲笑う台詞のように聞こえます。
スティーブはそれに対して、わずかに表情を曇らせ、何も言い返しません。
そんなことはない、と言えなかった彼の、この先の未来に、どうか戦争以外の生き方を与えてくれる誰か、何かがあることをひたすら願ってます。

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密


「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」サウンドトラック

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密を観てきました。
「シャーロック」を観て以来大好きなイギリス俳優、ベネディクト・カンバーバッチの主演作です。

結論から言うと、初めて、こんなに魂を揺さぶられる映画を観ました。
エンドロールが短いと思ったくらい、ずっと余韻に浸っていました。
しばらくずっと席に座っていたかったくらいです。

この映画は、第二次世界大戦中、天才数学者のアラン・チューリングが、解読不可能と言われたナチスドイツの暗号「エニグマ」をいかに解読に導いたか、そしてチューリングはどんな人だったかを描いています。

こう書くとなかなか取っつきにくいな、と思われる方もいるかもしれません。
ですが、この映画には難しい暗号の専門用語は出て来ません。
暗号解読をいかにして成し遂げたか、というミステリーの側面と、天才だけど不器用なアラン・チューリングがどういう人間で、どう生きたかというヒューマンドラマの側面を重層的に表現していて、2時間弱があっという間です。

主演のベネディクト・カンバーバッチは、シャーロック・ホームズなど天才を演じることが多いですが、本当に、チューリング役はこの人しかいなかったと断言できます。
自分の頭脳に対する自信と、大多数の人間とは相容れられない不器用さ、天才と無神経さの内側にある優しさと孤独がない交ぜになった人物を、よくここまで魅力的に、そして美しく表現したなと感服し、震えました。

チューリングの功績は、エニグマを解いたことだけではなく、現代コンピュータの理論を確立したことでした。
スティーブ・ジョブズよりも、ビル・ゲイツよりも先に称えられるべきはチューリングだったのに、私たちは近年まで彼の功績を知らなかったのです。
彼の晩年の不遇も知らずに戦後70年も経ってしまった。
その理由も、映画では描かれています。

人が、人との違いを受け入れるとはどういうことか、そして違いを受け入れないはどういうことか、を深く考えさせられる映画でした。
一人でも多くの人に観て欲しい、とこんなに思ったのも初めてかもしれません。

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3月10日

4年前の3月10日は木曜日だったはずだ。
11日が金曜日で、土日を挟んで14日の月曜日に出勤した時、職場に私1人しかいなかったのを覚えている。
あの時、4年後の自分を想像できていただろうか。

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GODZILLA/ゴジラ



2014年夏に公開されたGODZILLAです。
アメリカ版GODZILLAと書いてしまうと、1998年に公開されたあのイグアナみたいなのと混同してしまいそうなのが厄介なところ。
ファンの間では、配給会社にちなんで1998年公開の作品をトライスター版、2014年公開のこの作品をレジェンダリー版と呼ぶようですので、このブログでもそう呼んでみることにします。
映画館で観て、感想を書こうとしましたがもう何かいろんなものがこみ上げて書けなかったのですが、Blu-ray発売記念に書きます。
たぶん暑苦しい感想になることでしょう。ゴジラ大好きなので。

そもそもなぜアメリカがゴジラを2度もリメイクしたのか?
こんな子供だましの怪獣映画のどこに魅力があるのか?
不思議に思われる方も少なくないでしょう。

そういう方(はそもそもこのブログにたどり着かないかもしれないですが)には、ぜひ1954年版ゴジラ(日本製作)を観ていただきたい。
子供だましじゃないから。
ましてや娯楽作品でも何でもないから。
第二次世界大戦終結後わずか9年、まだGHQの占領下に置かれた状況で、アメリカの水爆実験によって生まれた(と暗喩される)怪獣が日本を襲う映画が、底知れぬ恐ろしさを秘めていたことは想像に難くありません。
劇中冒頭で、ビキニ環礁で第五福竜丸が水爆実験で被爆する場面は、モノクロだけに余計に空恐ろしいものがあります。
核の雲の下からやってきたゴジラは最初、マグロを食い、東京に上陸して人を食い、放射能を含む炎を噴く完全なる捕食者として現れます。
ゴジラはそれぞれの時代で、人の本当に恐れる何かを投影して現れるのかもしれません。


(書いてみたらものすごく長くなってしまったので続きは下で…)

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Soldier's Girl



今回取り上げる映画は、「Soldier's Girl」です。
日本で公開されたわけでも、日本版がリリースされてるわけでもないこの映画を観たい!と思ったのは、年末に観た「ホビット 決戦のゆくえ」(感想はBlu-ray発売後に書きます・汗)を観て、リー・ペイスという俳優にのめり込んだからです。

理由はすごく単純で、リー・ペイスは「ホビット」劇中こんな見かけなんですが(エルフの王だからね)、
thranduil.jpg

実際は身長190センチを超えるこんな感じの人で、
suit06.jpg

それが「Soldier's Girl」ではこうなり、
sg05.jpg

何ならこんな感じにもなり(もちろん左の方ですよ)、
sg03.jpg

これは観たい!となったのです。
最近、欧米の演劇情報に触れる機会が増えて知ったのは、イギリスの演劇界では全裸と女装、ゲイの役を経験して初めて一人前と認められるそうです。そのためSNSなどには、クオリティの高い低いはありますがいろんなイギリス俳優さんの女装写真が出回ってるわけです。私もそのいくつかを目にしましたが、女装というカテゴリでこれほど美しい女性に変装した写真を見たことがありませんでした。
しかもリー・ペイスはアメリカの俳優なので、この役が必須だとも思えない。
ますます気になって、まさかの英語字幕もないDVDに手を出すことになりました。
そのため、ストーリーの細かいところは把握できていませんがご容赦ください。

前置きが長くなりましたが、「Soldier's Girl」は、1999年にアメリカで実際に起きた事件を元にしています。
アメリカ軍の兵士であるBarryは、新たに配属された基地の近くにあるナイトクラブで、ショーを行うトランスジェンダーのCalperniaを見かける。ショーの前から同僚が「あいつは男だぞ」と侮蔑的に言うのを聞かされていながら、舞台で踊るCalperniaに目を奪われ、戸惑いながら恋に落ちていく。
CalperniaもBarryに惹かれるが、自身の性転換手術が不十分であるために拒絶されるのを恐れ、苦悩する。
何度か逢ううちに二人はお互いの理解を深め、いつしかこの恋が成就することを夢見るようになる。
しかし一方、Barryの同僚がBarryとCalperniaの関係を疎ましく思い、新しく入った後輩を利用して上司に告げ口をしたり、Barryへきつく当たるようになる。
そしてCalperniaが(恐らくトランスジェンダーやそれに属する人たちの)大会に出場している間、Barryに悲劇が起こる。

と、いうようなお話。
補足しますと、当時アメリカ軍内には同性愛者に関する政策「Don't Ask, Don't Tell」(聞くな、告げるな)というものがありました。(1993年施行、2011年失効)
軍属のすべての人員に対し、1)同性愛者と公にした者は軍務に就けない規則のため「同性愛者か尋ねるな」、2)いわれのない嫌がらせや差別から(潜在的な)同性愛者を守るため「同性愛者だと告げるな」というものです。
しかし当時から軍内部には、同性愛者だと言うことが原因で暴行事件が絶えなかったそうです。
「Soldier's Girl」での出来事も、ちょうどこの政策のまっただ中でした。
そのためBarryの後輩から報告を受けた上司も、恐らく(私の英語力が足りずちゃんと聞き取れているかはわかりませんが)Barryが同性愛者だということで調査しているわけではなく、ナイトクラブへ出かけるということで規律の乱れを正そうとしているように思える。
でもBarryの同僚はそれでは満足できなかった。仲間はずれにし、男らしさと強さだけを憧れとしている後輩に不満をぶつけ、ついに悲劇に至ってしまうわけです。

その悲劇について詳しくは書きませんが、これを観るとアメリカが「自由の国」と声高に叫んでいる理由が、少しわかる気がしました。自由だ、平等だと叫びながら、有色人種を差別し、同性愛者を排斥することはどうやってもなくならない。だからこそ叫ぶんでしょうね。

Calperniaを演じるリー・ペイスは、冒頭からリップシンクでダンスを見せますが、本当に美しい。メイクもそうですが身体の線が既に女性です。メイキングでは胸とお尻を特殊メイクで付けたと言っていますが、それにしても身のこなしや仕草が本当に女性らしいです。そのダンスだけで鼻血吹きそう。
私は既に男性のリー・ペイスの姿を知ってしまっているので、確かにどこか男性の面影を残しているなと感じたのですが、劇中のBarryが最初にCalerniaを見た時の表情が、その美しさを物語っていると思いました。
Barry役の俳優さんも本当にすごくて、新しく配属された基地での戸惑いや拒絶の表情とは打って変わって、一目で心を奪われたとわかる表情が素晴らしかったです。あの時のあの表情がなければ、いかに美しいとはいえ、トランスジェンダーの女性と恋に落ちただなんて、多分観客も納得しなかったんじゃないか、とさえ思いました。
リー・ペイス演じるCalperniaも、若い兵士たちを軽くあしらうような態度を見せながら、Barryへの思いを語る時には本当に少女みたいな顔になって可愛らしかった。本当の自分を模索し続けながら、かつて男性だった自分も、これから女性になるであろう自分もすべて抱えて生きていこうとする苦悩と強さも垣間見て、だからこそ彼女のすべてを包み込んだBarryの優しさと、優しさ故の弱さが危うかった。

そしてBarryの同僚や後輩たちの、それ以上の弱さと脆さが、アメリカの暗部を示しているようでした。
兵士らしい男らしさを良しとして、男らしさを履き違え、強さは力の単位だと思っている。型どおりの人間、型どおりの幸せがすべてだと考えて、彼らの考える正道から外れた人間を認められない。不満を不満として自覚したら、相手を滅するまで憎悪を抑えることができない。
それは当時20際そこそこだった彼らの若さ故だと片付けられる欠点でしょうか。

女装見たさで観た映画ですが、こんなに深く考えさせられる映画に出逢えて、やっぱり洋画沼(最近、洋画好きな人たちのことをtwitter上でこう呼ぶそうです)はやめられないなぁ、と思ったのでした。

Wicked Bites: クリス・エヴァンスの地元でのチャリティーイベントインタビュー

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー観て以来大好きなクリス・エヴァンスの、4分ほどのインタビューなんですが、短いのにすごい内容詰まってるな!と思って聞き取って文字に起こしてみたんですが。
インタビュアーの英語が早い上にボストン訛りなのかわからないけど、聞き取れない部分が多かったのと、4分のインタビューでこんなに話す?ってくらい内容濃い。

(2015.03.05)
追記に英文と日本語対訳で載せました。




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ジョン、全裸同盟へ行く



タイトル読んで何じゃこれと思われた方も多いかもですが、これはシャーロック・ホームズのパスティーシュ小説です。

パスティーシュは原作の登場人物、設定、文体などを模倣して原作者とは別の著者によって書かれたもののことです。
で、これは最近発売されたものなのですが、ベースがコナン・ドイルの小説の方ではなく、イギリスBBCで放送されているドラマ「SHERLOCK」になっています。
舞台は21世紀、シャーロック・ホームズは作中では「ホームズ」ではなく「シャーロック」と呼ばれ、相棒ワトソンもファーストネームの「ジョン」と呼ばれています。そして二人の容姿や服装、仕草などもBBCドラマがベース。
つまりコナン・ドイルのホームズを知った上でBBCの「SHERLOCK」を観ていないとちょっとどころじゃなくぼんやりしてしまうかもしれない。

ちなみに私はBBCの「SHERLOCK」を観た後、コナン・ドイルのホームズ小説をざっと読んだくらいのレベルです。パスティーシュ読んだのはほぼ初めて。

内容の前にこんなに説明が長ったらしい書籍感想もないなと思いますがとにかく感想を言うと、これは出版社から出た同人誌だな、と思いました。
多分パスティーシュが同人誌の元祖っていうか原型みたいなものだから、この感想が既にアホみたいなんですけど、とにかくそれが一番最初に思ったことでした。
BBCの「SHERLOCK」はシリーズ3まで出てますが1シリーズ3話(1話90分)で、アメリカのドラマなどに比べると話数が少ないのが現実。(その分密度はヤバいんですけどね?)
各所にコナン・ドイルのホームズ小説の題材やちょっとした仕掛けが散りばめられていますが、中には原作と同じように「語られなかった事件」もあって、もっと現代版シャーロックとジョンが事件を解決してるのが観たい!読みたい!という欲求に答えてくれるのがパスティーシュです。

ちょっと長くなってしまうので続きは下で。

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PUSH/光と闇の能力者



クリス・エヴァンス出演作を追いかけて第2弾。
「PUSH/光と闇の能力者」です。

第二次世界大戦中のナチスによって研究されてきた、超能力を持つ者たちだけの軍隊計画。
ナチスが為し得なかった計画は、様々な国によって受け継がれ、「ディヴィジョン」という機関によって現代になっても研究されていた。
そのディヴィジョンの研究所から、ひとりの女性が逃げ出す。
彼女と彼女が持ち出した薬を巡って、ディヴィジョンと能力者たちの闘いが始まる。

…とまぁ、ざっくりとしたあらすじを書きましたが、ストーリーに慣れるのに少し時間がかかる作品です。
さまざまな超能力を、簡単な英単語に置き換えたところが新鮮だなぁと思うのですが、如何せん盛り上がりに欠けるかな(汗)

まず、タイトルの「PUSH」は「人に嘘の記憶を植え付けることができる」能力のことです。
あと登場するのは「MOVE」=念動力、「WATCH」=未来予知、「SNIFF」=サイコメトリー(嗅ぐことで物の記憶を辿る)、「BLEED」=超高音を発生させて人を活動不能にさせる&鼓膜破って流血させる、etc。
そういった能力を持った人たちが、唯一でなく複数存在するというのがこの映画の特徴かなぁ。
同じ種類の能力を持っていても強弱があったり、修練の差が出たりする。

そんな中で映画の主役がクリス演じる「MOVE」の能力を持ったニックと、ダコタ・ファニング(※かわいい)演じる「WATCH」の能力を持ったキャシーの二人。ストーリーの中心となるのが「PUSH」の能力を持った女性、キラ。
んー。キャシーの未来予知能力や、キラの持ってる薬、ニックとキラの昔の恋愛関係なんかが軸になってくるんですけど、未来予知が時間を追っていくうちに結末が変わって来るのがキーなのと、敵の同じ能力を持つ者に先手を読まれたりして、全体的に展開がモタモタ。(汗)
そして主役であるニックの能力がなかなか開花せずこれもモタモタ。(汗)
SF(なのかファンタジーなのか)を観ているはずなんですけど、だんだん推理ものを観ているような気になってくる相手の行動の裏の読み合いです。

ニック役のクリスは、能力云々は別として、女子供に好かれる天才だなと思いました。(爆)
そういう表情だけは素なのかと思うくらいです。

観終わると、アレこれ上下巻の小説の上巻だけ買っちゃった?、みたいな気持ちになります。
続き観せなさいよ!という終わり方は映画としてどうか…。

テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

私がクマにキレた理由



クリス・エヴァンス出演作を追いかけてたどり着いた、何作目かの映画。(ぱぱっと観てみたら字幕なしバージョンだったので、たぶんいろいろ聞き逃してる&間違えてるかも)
「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」でブラック・ウィドウを演じたスカーレット・ヨハンソン主演のラブコメディ。
しかしラブコメディでこっぱずかしいタイトルを書くの2回目。どうにかならんか邦題決める人たちよ。ちなみに原題は「The Nanny Diaries」。Nanny(ナニー)は住み込みの子守役のような女性のこと。

ニューヨークの大学で人類学を学んだアニーは、卒業はしたものの大企業の面接に失敗。別の企業に面接に行くけれど、「貴方はどういう人間か説明してみて」と言われ、何一つ言葉が出て来なかった。
自分にはどんな未来が待っているのだろう?いろんな将来像を描くけれど、どれもしっくり来ない。ついにはセントラルパークで鳩に餌やってるホームレス(と思われる)老女に目が行く。私はああなるのか?と思っていたら、目の前で男の子がセグウェイに轢かれそうになったのを助けた。すぐに母親が駆け寄ってきて、お礼を言われた。自己紹介のつもりで「私はアニー(Annie)です」と言ったら、「まぁ、Nannyですって!?ちょうど前のナニーが辞めて困ってたの、よければこの子のナニーになってくれない?」
とんでもない勘違いだけど、自分には縁がなさそうなアッパー・イーストサイド(いわゆるセレブ)の暮らしに興味が湧いたし、とにかく何か職に就きたい、と子守役になることにしたアニー。
ところが、仕事をするに当たってはルールだらけで、休みも少ないし、面倒を見ることになった男の子グレイヤーはいたずらばかり。
おまけに憧れていたセレブの暮らしは、お金もモノもあるのに何だか幸せそうじゃない。父親は仕事でいつも出張(しかも浮気してる)、母親は自分磨きに忙しくてグレイヤーの面倒をこれっぽっちも見ない。それなのに息子に対する教育にだけは熱心。
アニーはそんな両親の愛情に飢えたグレイヤーに情が移って、面倒を見るけれど、母親はアニーを道具くらいにしか思っていないし、夫との不仲の原因をアニーに押しつけて高圧的な態度を崩さない。
アニーは次第にそんな子守役の生活に限界を感じて…。
というようなお話。

主人公のアニーは人類学を専攻したということで、映画はちょっとした論文かレポートのような語り口でスタートし、汎用性を持たせるため固有名詞を使わないというルールのもと、雇い主をミセスX、その夫をミスターXとしてストーリーは進んでいきます。
ミセスXの高慢さがすごいです。アッパー・イースト感ハンパない。ボリュームのあるブロンドに白い肌、アイラインの濃い瞳が怖い。
何だか、観てると奴隷と主人のような気分になってきます。子守役は大事な息子の面倒を見てくれる存在のはずなのに、人格も尊重せず命令するだけ。実際、劇中に出て来るよくわからないセミナーで雇い主と子守役の交流を無理矢理持たせようとしてるシーンからもわかるように、子守役は外国人女性が多い。世界ってずっと変わらないんだなって…何か「それでも夜は明ける」を思い出した…。
あとこのお金持ちの奥様向けのセミナーも怖い。たぶん生まれながらのお金持ちってああいうセミナー行かないんだろうな、とふと思ったり。得た富に見合う所作とか習慣に追いつくのに一生懸命て感じが怖い。

そういう中で、ふと心安らぐのがミスターX宅の上階に住むハーバード大学の学生の存在ですね。レポートに書く時の名前が「ハーバード・ホッティ」(Hottie=セクシーな人、性的魅力のある人)てまたこっぱずかしい。まぁそのイケメン大学生の枠がクリス・エヴァンスです。
登場シーンからめっちゃキュートです。
同じ建物内に住む時点で相当なお金持ちのはずですが、初対面からアニーにめっちゃ親切なナイスガイです。アニーが彼をHottieと呼んでいたように、彼の方もアニーに好意を抱いたようで、困ってると相談に乗ってくれたりする。ぱっと見は一点の曇りもなさそうなのに、母親が早くに亡くなって9人の子守役に育てられた経験があってグレイヤーを気にかけるなど、「やっぱりもうそいつにしちゃえばいいじゃん」状態(「運命の元カレ」感想参照)。
特に、登場した時にグレイヤーにドア越しに語りかけるところがすごい可愛い。子供の目線になってしゃがんで話しかけたり、「そんなことするのは親切とは言えないよ」的な優しい語り口。おまけにイケメン。美味しい。
おいしい役どころだけど、ちょっと間違えると金持ちのボンボンが不幸知った気になってんじゃねえよとなりそうなところなのに踏みとどまった。私の中だけだけど。

これ最初にラブコメディって書きましたけど、ホームドラマのような味わいもある映画だったなぁ。
恋模様がメインじゃなかったのと、大好きなアメリカ自然史博物館が出てきたので、最後まで面白く観られました。あそことメトロポリタン美術館に住みたい。
それにしてもスカーレット・ヨハンソン、かわいいなー。ドレスアップするとすごく映えるし、何でもない格好もキュートだった。
キャプテン・アメリカ2でのクリスとの呼吸の合い方がすごいなと思っていたけど、4作も共演してるからなんだなーと納得。

あと、邦題の「私がクマにキレた理由」て、まんまクライマックスのネタばらしをするようなものなのに何でこのタイトルにしたか…。原作本の邦題と言う「ティファニーで育児を」じゃダメだったのか…と、ラブコメディの邦題に再度ではあるが一言申したいのでした。

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運命の元カレ



映画を観て気になった俳優さんの出演作を掘り出してDVD借りて観ることが、映画好きのひとつの醍醐味だと思うのです。

と、いうことで。
キャプテン・アメリカでクリス・エヴァンスが気になったので、どんな映画に出てるのかなーと探してみたところに発見した映画「運命の元カレ」。
普段アクション映画ばっかり観る私にとっては文字にするのもこっぱずかしいタイトルですが、原題はもっとシンプルで「What's Your Number?」(直訳:あなたの数はいくつ?)。

主人公の女性アリーは、偶然目にした雑誌マリ・クレールの記事で「経験人数20人を超えた女性は96%結婚できない」と書かれているのを見てしまう。気になったアリーは自分の「元カレ」の数を数えていくと、何と19人!だったら20人目がきっと私の運命の相手!未来の夫だわ!と決意を新たにした日の翌朝、元上司とベッドで目覚める。
元上司とも目覚めてすぐに別れてしまったアリーは、経験人数20人を越えず結婚する術として、超のつく遊び人でなぜか調査に長けた隣人、コリンの力を借りて、19人の元カレのその後を追っていく、と言うストーリー。

まず、原題からして経験人数を問題にしてるあたり、がっつりR指定です。シーンどうこうと言うんじゃなくて、台詞がR指定。
オール下ネタと言って過言じゃないんじゃなかろうかという赤裸々さです。
観たことないけど、セックス・アンド・ザ・シティってこんな感じなのかなー。
でもたぶん下ネタ以外の日常会話を聞き取るには良いのかもしれない。ただ下ネタの割合多すぎだけど。(汗)

で、お目当てのクリス・エヴァンスは、主人公の部屋の向かいに住む遊び人、コリン。冒頭からほぼ全裸という、気持ちのいい脱ぎっぷりですが、イケメンだから許される。
アリーに「ボストン中の女性と寝るつもり?」と言われるほどの軽さで、女性を部屋に連れ込むけど、基本的に一夜の関係だけ。あとは何とか女性が部屋を出て行ってくれないかと思い、何かと口実を付けてアリーの部屋に逃げてきたりします。
最初は「女の敵」とコリンを追い払ったりしていたアリーですが、経験人数20人を越えて、元カレの消息を辿ろうと一晩中ネットで探し回ったものの見つからず、朝コリン(また全裸)(また女性連れ込み済)に「付き合った人がどうしているか知りたい」と表現だけは遠回しにして依頼。最初は断ったコリンですが、「一夜を過ごした女性を追い払う手伝いをアリーがする&追い払いたい時はアリーの部屋に逃げて来ていい」という対価を条件に元カレ探しをOK。
コリンは、父親が警察官で、張り込みに付き合わされたと言い、短期間で次々と元カレの居場所を突き止めます。

たぶん誰が観たってこの映画のラストはわかってんだけど、と言うラブストーリーです。
でも最後まで観たのは、クリス・エヴァンスが出てるから、だなぁ。私の場合。
主人公のアリーのキュートさや必死さ、更には自分の思い込みで諸々がしっちゃかめっちゃになっていくのが面白いのかも、とも思いますが、露骨すぎて引く、というのが私の率直な感想です。
大爆笑なのかなぁ、これ。

何はともあれ、クリスはかっこいいです。
年下の男っぽく甘えてくるところとか、アリーを励ますとことか、実際アリーのことが気になって仕方ない仕草を見てると、もう中盤で観ている人全員が「そいつにしちゃえばいいじゃん」とツッコミたいと思う。
キャプテン・アメリカでは決して観られない柔らかさやリラックスしたクリスが観られます。
堅物を演じてるのしか観たことなかったから、ここまでゆるくも出来るんだと感心。

あと、この映画を探し出した時に驚いたのは、ザッカリー・クイント(「スター・トレック」)とマーティン・フリーマン(BBC「シャーロック」)が出演してること!
そして後から気付いたのは、キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーのファルコン役の人も出てます!わー!どんだけー!
ここまで最近観た映画やドラマに出てる人がまとめて出演してるのってすごい。
そして出番があっという間。(汗)
上記の三人目当てで観る方は、あっという間だと言うことを覚悟して観るといいかもです。

クリス・エヴァンス目当てで観る方はかぶりつきでどうぞ!

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

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アイヴァン秋津

Author:アイヴァン秋津
商業写真のカメラマンになり損ね。
フォトグラファーのたまご。
冬眠中。
CA州に留学してた。
映画観るのも、文章書くのも好き。
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